「鮎川……」


「――っ…」


先輩の息が耳にあたって、ギュッと体に力が入る。


「のいて下さい…!!」


そう言って先輩の服をつかみ押そうとしたが、力が入らず先輩にすがりつく形になってしまった。


「シュークリームは、あげたんじゃない。」


「でも…東雲先輩は、熊切先輩から貰ったって……」


私がそう言い終わってから、「はぁ」という重いため息を先輩はついた。

そして、やっと先輩は耳元から唇を離してくれた。


「あれは―――…」


先輩が何かを言おうとした時、音を立てて保健室の扉が開いた…。