「小春っ!?」と私の名前を呼ぶ勇悟の声を無視して、私は保健室に走った。

その走った勢いで保健室を開けると、当然と言うように熊切先輩がいた。


「鮎川…??」


「先輩…っ」


先輩は息が荒い私を、不思議そうにジッと見ている。


「先輩…シュークリームどうしたんですか??」


「え……」


私がそう言うと、少し声をあげて視線をそらす。

やっぱり……


「東雲先輩に…あげたんですか??」


「輝……?」


先輩は眉を寄せ、こちらの表情を伺っている。


「私、たまたま見ちゃって…いらないなら、そう言ってくれれば良かったのに……」


「鮎川…?」


「おいしいなんて…そんな、嘘なら言ってほしくなかったです…。」