それだけ言って、熊切先輩は私に背を向けた。 その瞬間、先輩のジーパンのポケットから何かが落ちた。 あれは確か…前に私の家に忘れていった手帳…? 「先輩、これ……」 私は手帳を拾って、先輩に渡そうとした―――… “パサリ” そんな音が、私たち以外誰もいない海中トンネルに響いた。 「―――え?」 手帳から、一枚の写真が落ちた。 見たくなくても、視界に入ってくるその写真には、女の人が写っていた。 年上だろうけど…綺麗な人。 「あ……」 先輩はすぐに、バッとその写真を私から奪っていった。