「あ……」 私の口の中に、しょっぱい物が入ってきた。 私…泣いてたの? 「先輩…っ」 「鮎川―――」 先輩は何かを言おうとしたが、それは雑音に遮られた。 「え……?」 『只今より、本内の“海中トンネル”を開演したいと思います。』 海中トンネルって…ここのことだよね?? 「………」 先輩は放送を聞き終わると、私の手首を放してくれた。 少し、赤くなっている…。 「あ、先輩……」 「……行こう。」