「え、あの…」


「小春ちゃん!早く行かなきゃ仕込みが間に合わないよ!!」


そう言って東雲先輩は、無理やり私の腕を引っ張った。


「あ、ちょ……」


私がバッと熊切先輩を振り返って見ると、寂しそうな目で私を見ていた。

その表情が私の頭にこびりつき、熊切先輩の姿が見えなくなっても離れない。


「熊切先輩…」


絞り出した声は、誰もいない廊下に寂しく響いた…。