【完】先輩と保健室で




理由…言えないんだ。


「あ、じゃあ私…もう教室に戻らないと!!」


そう言って、私は走って教室に戻った。


「あ、小春ちゃん!」


東雲先輩がそう私の後ろで叫んだが、今はその言葉も耳に入らない。


嫌いなら…最初からハッキリと言ってほしかった…。


「熊切先輩…」


もう…会えないのかな…?

会えないんじゃない、会いたくない……。


会ったら、きっと…


「お、おかえり小春!」


「あ、うん…。」


私はなるべく勇悟の顔を見ずに教室に入って自分の席に座った。


勇悟は不思議そうに私を見ていたが、今は誰とも話したくない……


そのまま授業の内容もほとんど頭に入らず、いつのまにか放課後になっていた。