シオン

「「紫苑」」

聞き覚えのある声と重なった。

ぱっと顔を上げる。

笑う彼に泣きそうになる。

「ごきげんよう」

私がそう言うと、さすが花屋の娘、と彼が笑った。

紫苑の花言葉の1つ。
ごきげんよう。

「紫苑、誕生日おめでとう」

「ありがとう……」

「また、またすぐにあっちに戻らなきゃいけないけど……」

「うん」

「俺、いつも紫苑のこと」

「うん」

わかってるよ。

紫苑のもう1つの花言葉。
遠方にある人を思う。

「じゃあ、お返しに私も紫苑の花束を贈ろうかな」

傍に行きたくても行けない、紫苑(ワタシ)の代わりに。

気持ちを込めてリボンを巻く。

ぼやける視界のせいで、カールがうまくできなかった。










終わり