そして、氷室さんはぽんぽんとあたしの頭を撫でると、部屋を出ていった。

5分ほどして戻ってきた彼の手には、氷枕と冷水の入った洗面器。

ゆっくりとさっきいた場所に屈み込むと、あたしの頭の下に氷枕を敷いて、額の上には冷たいタオルを乗せてくれた。

その冷たさが、気持ちいい…


「ほら、そろそろ寝なよ。」

「でも…」

「大丈夫、帰らないから。
こんな具合悪そうな子、さすがに一人にはしておけないでしょ。」


あたしの気持ちを見透かすようにそう言って笑う氷室さん。嬉しくて、でも悔しくて、そのまま氷室さんの瞳をただ見つめた。


「何?」

「…また、手、繋いでてもらえません?」

「…しかたないね。」


苦笑を浮かべながらも繋がれた手。
氷枕を作ってきたからであろう、冷たい氷室さんの手をぎゅっと握りしめ、あたしは目を閉じた。