「……何から何まで迷惑かけて、本当にごめんなさい。
…で、その隼人はどこに?」
「あぁ。加藤隼人は、僕にキミを押しつけて、氷とかその辺の説明してから、さっさと自分の家に帰ったよ。」
「そうですか…」
ったく…、隼人の奴め。
どうせ、あたしの看病するのがめんどくさかったに違いない。悪い奴じゃないけれど、そういうところがちょっと薄情だ。
――ってか、そんなことより、
「…あの、今何時ですか?」
「今?…今は、20時をちょっと過ぎたところだよ。」
漠然と浮かんできた疑問をぶつければ、返ってきたのはあたしの予想を遙かに上回る答え。
ってか20時!?
あたし、そんなに寝てたの?
驚いて勢いよく体を起こせば、また額に置かれていた濡れたタオルが膝元に落ちる。
クラッと襲ってきためまいに耐えながら窓に視線を向けると、閉じられたカーテンの隙間から、優しい月明かりが漏れていた。