目を覚ませば、目に映ったのは見覚えのない天井。

勢いよく起きあがると、額に乗せられていたのであろう濡れたタオルが、ぽとりと膝元へと落ちた。


「ここ……」


独り言をつぶやいてあたりを見渡せば、ここが生徒会室であることに気づくまでたっぷり十秒くらい。

ハッとして生徒会長の机の方に振り向けば、そこには肝心の氷室さんはいない。

というか、この部屋のどこにも彼の姿は見あたらない。

でもそんなの、今は授業中なんだから当たり前といえば当たり前で。

たったそれだけのことなのに、急に不安になって涙が溢れ出した。


「…ひ、むろ、さん…」


だって、ここにくればいつだって氷室さんはいた。

その彼が今、
ここにはいない――…