―――だから。


「あたしも、氷室さん大好きですっ!」


そう口癖化した言葉を負けじと紡ぐ。
そしたらきっと、いつもみたいに呆れて、小さくため息をつくはずだと、そう、思っていたのに。


「うん、知ってる。だから僕たちは今、一緒にいるんだろ。」


返ってきたのは呆れなんかじゃなくて、柔らかい微笑みと、いつもとは全然違う言葉。

…――でも、氷室さんの言う通りだ。
始めはあたしの壮絶な片想いで、毎日ウザいほどアピールして。だけどそれがあったからこそ今、あたし達は一緒にいられる。

だってあたしがもし、ほんの少しもアタックしてなかったら?途中でへこたれて、諦めていたら?

もしかしたら今の時間も幸せも、あたしの元には無かったかもしれない。

その軌跡を思い出させる言葉に、好きだから一緒にいるという理由に、やはり堪え切れず、再び涙が頬を伝った。








【 END 】
Thank you!
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