「だって紫音、言うまでもなく勇ましいし、ある意味華やかだろ。」


あたしが勇ましい?ある意味華やか?
まぁ、否定はしないけれど。


「何ですかー、それ。あたしが男まさりみたいじゃないですか。」


少しだけふくれて見せれば、氷室さんは楽しそうに頬を緩めた。刹那、「でも、」と切り出された言葉に耳を傾ける。


「でも僕は、そんな紫音だから好きになったんだ。」

「……え?」

「そういう変わったようなところも全部含めて、紫音が好きなんだよ。」


だけど発されたのは、耳を疑うような、信じられない言葉。数秒経ってようやく意味を理解したのと同時に、また泣きそうになるのを必死で堪えた。


「…っ、何かもう、今日の氷室さん変です。いつもはそういうこと言わないくせに。」

「そんなことないだろ。」


そんなことあるから言ってるのに、とは、さすがに言わなかったけれど。面前で優しく微笑む氷室さんを見たら、そんなのどうでもよくなった。