時は放課後、帰宅部な生徒はとっくに帰路についているはずの時間帯。

あたしは今、かなり本気で廊下を疾走中。

それというのも、原因は――…


「待ってください、氷室さん!」

「本当、近寄らないで。」


ターゲット(氷室さん)が、あたしから本気で逃げようとするから。

ま、逃げられるのも当然、今日は朝から氷室さんを見つける度に追い回してるからなんだけれど。

でも、先日の噂騒動によって、あたしにはアタックするしかないという結論に至ったんだから、しかたない。

結局、鈴木さんの本音はわからないままだけれど。確かめる術も無い…否、確かめる勇気が無いと言った方が正しいのかもしれない。


「いい加減、少しくらいあたしの愛を受け取ってくださいよ!」

「……キミこそいい加減に、人の話を聞きなよ。」


後ろのあたしに振り返りながら、氷室さんは大きなため息をついた。