恋せよ乙女


刹那、引き攣る頬をごまかすように、鈴木さんは口角を上げる。


「…何、言ってるの?」


そしてそう零しながら、再びゆっくりとあたしに近づくよう歩み寄ってきて。一歩後退したあたしの腕をギュッと強く掴んで、前後に揺さぶる。


「いつでも恭君の傍にいられるあなたは、それでいいかもしれない。けど、私は……!」


切実に、まるで訴えるように縋るように、鈴木さんの瞳は強く、あたしを見つめ続ける。

だけど、“私は…”何? 私は傍にはいられない? あたしがいる限り? そうとでも言いたいの?

疑問が一人錯綜するあたしは、彼女から視線を移し、小さく息を吐いた。だって彼女はやっぱり、あまりにも、あたしのことをわかってない。