「ひむっろ、さん…っ、大好きっです!」


泣いていたせいで途切れ途切れになった言葉は、ちゃんと伝わったかどうかはわからないけれど。

相変わらず優しい笑顔を浮かべてあたしを見つめる彼に、思いきり抱きついた。


「……その言葉、久しぶりに聞いたよ。」


そして優しく受け止められた刹那、耳元で告げられた言葉に胸がドキッと大きな音をたてた。

ぎゅっと強く抱きしめられ、懐かしい氷室さんの匂いが鼻腔をくすぐる。

―――ああ。氷室さんが、傍にいる。

欠落した記憶のせいで足りなかった何かが、今、氷室さんの存在で埋められていく。

伝わる鼓動が、感じる温もりが、これ以上無いと思えるほどの安心感で、あたしを満たしてくれた。

もう、大丈夫だと。気持ちは同じだと。
確かにそう、あたしに伝えるように。