釈然としない思いに押し潰されそうで、自然と視線が下がる。 わけのわからない感情が渦巻く中、「それはそうと……。」と、不意に口にした鈴木さんの声が耳に届き、再び視線を彼女に向ける。


「最近、元気が無いのよ、彼。ほら、あなたの事故、校内で起きたでしょ?どうやらそれに、会長として責任感じてるみたいで……」


そして頬に手を当て、数秒宙を彷徨った鈴木さんの視線はゆっくりとあたしを捉えた。何かを訴えるような強い瞳を直視できなくて、あたしは思わず目を伏せてしまったけれど。

会長が元気ないのも、人一倍あたしを心配しているのだろうことも、そんなのは薄々気づいてた、知っていた。


「だから加藤さん、これ以上彼に、あなたの件で心配かけさせないで。」


だからそう強く紡がれた願いに、あたしはただ、小さく頷くことしかできなかった。

だってあたしが、あたしを見る度表情を歪ませる会長の姿に、何故か胸を締め付けられていたのは間違いようの無い事実だったから。