まるで、紡がれた言葉は事実ではないとでも言うように、痛み続ける胸。 何が本当で事実なのか、偽りなのか、今のあたしに確かめる術など何一つ無いけれど。
「……それは、本当、なの?」
思いのほか掠れた声で、半ば諦めながらそう問えば、案の定、鈴木さんは大きく首を縦に振った。
「本当よ。だって、私があなたに嘘をついてどうするの?」
何を言っているのか、とでも言いたげな顔で、鈴木さんはあたしを見つめる。
…でも、確かにそうだ。何にも覚えてないあたしに、嘘をつく意味なんて無い。
「…そう、よね。疑ってごめんなさい。」
「いいのよ。自分の記憶を、他人から教えられるんだもの。疑って当然だわ。」
そう言って、有無を言わせない雰囲気を漂わせた鈴木さんに、これ以上何かを問いかけることはできなかった。