「…ねぇ、もしかしてあなた…、」

「そんなことより。」


もしかしてあなた、何かを知っているんじゃないの?

そう問い掛けようと紡ぎかけた言葉は、若干強まった彼女の声で遮られた。
反射的に口を閉ざしたあたしを見て、彼女は続ける。


「私、生徒会副会長の鈴木香波、っていうの。忘れてるみたいだから、一応自己紹介しとくわね。以前から親しかった訳ではないけれど、そうね。この機会に、これからは仲良くしましょう?」

「え?…あぁ。なら、よろしく。」


微かに首を傾げ、綺麗に口角をつりあげた鈴木さんに、そう答えて笑ってはみたけれど。一瞬絡んだ視線に、再び胸がざわついて違和感が駆け巡る。

まるでこれ以上彼女と関わるのを拒むように、どくんどくんと、鼓動が早まっていくのを感じた。