検査入院が必要、そう言われてから二日後、あたしは無事に退院した。

もっとも、頭を強く打ったせいで特定の記憶が欠落しているみたいだけれど。

それが本当に忘れ去りたくて忘れてしまったのか、強く想いすぎた故、落ちた衝撃で忘れてしまったのか、それはわからないらしい。

だけど、日常生活には何も支障はないし、学校もちょうど学祭の振り替え休日明けだったので、あたしは何事も無かったように、普通に登校することができた。

……でも、それはそうと。
あたしが気になっていたのは、氷室会長のこと。

こう普通に学校に来て、授業を受けていても、二日間の入院生活の中で気になった事柄が頭から離れない。

だって、それもそうでしょう?

世奈や隼人が、毎日お見舞いに来てくれたのはまだわかる。だけどどうしてわざわざ会長が、接点のないあたしのために、続けて来院してくれたのか。

脳裏に焼き付いたまま離れないあの微笑と相俟って、どうしても気になって仕方ない。