「……んで……落ちた…よ?」
「…ない。見つけ…には…てた。」
途切れ途切れに耳に届く、聞き覚えのあるような、無いような声。
視界を覆う暗闇の中、その声を必死に聞き取ろうとしていた最中、不意に視界に光が差した。
ぼんやりと開けていく視界。
一番最初に目に映ったのは、見覚えの無い無機質な白さが際立つ天井……。
「…っ、紫音っ!」
呼ばれた名前に反射的に首を動かすと、ズキンと頭に鈍い痛みが走った。
「紫音、良かった……」
ベッドの傍らにいたのは、世奈。
今にも泣きそうに、あたしの手を握りしめていた世奈にとりあえず微笑めば、世奈は握りしめた手に力を込めた。