―――学校祭、本祭一日目。

昨日は結局、前夜祭には出席せずに隼人に送られて家まで帰った。
あまりにも泣きすぎたうえ、頭の中はぐちゃぐちゃで。家に帰ってから朝までの記憶は曖昧だけれど。

朝の目覚めは思いのほかスッキリしており、きちんと整理された頭の中は氷室さんと話すことの必要性をあたしに提示していた。

でも、やはり学祭期間中ともあって生徒会は忙しい。たまに見かけて声をかけようと思ったけれど、さすがに躊躇われた。

だから、何も問わずあたしに付き添ってくれている世奈とともに、下級生のパビリオンをまわる。
一通りまわり終え、昼食も兼ねて軽食喫茶で腰を下ろしたとき、あまりにも唐突に、世奈がぽつりと言葉を零した。


「ごめんね、紫音。」

「……は?何が?」


あたしが世奈に謝られることなんて、何一つ無いのに。飲もうとして持ち上げた烏龍茶のボトルを再び机の上に置き、あたしは世奈の言葉を待つ。