「え、ちょっと……。どうしたの。大丈夫かい?」 明らかに普通では無いのであろうあたしの様子に、氷室さんが急いで駆け寄って来る。 オレンジが少しずつ闇に染まり始める窓際、潤んだ視界で氷室さんを捉えれば、我慢できずに涙が一筋、頬を伝った。 「…っ!待って、何。何で泣くの。」 「な、何でも無いんです。」 「いや、どう見ても何でも無くないだろ。」 心配そうにあたしの顔を覗き込み、涙が流れる頬に優しく触れる。 問われる言葉に何度も首を横に振れば、氷室さんは何かを思い出したように口を開いた。