恋せよ乙女


あたしの言葉に、氷室さんはハイビスカスから視線をずらすことなく、短く「…ふぅん。」とだけ答えた。

そして、答え終わると同時に漂い始めた微妙な沈黙…。それを壊すように、あたしは勢い良く立ち上がる。


「……っ!どうしたの、いきなり。」

「いいえ。それより次っ!次のお店行きましょ?」


あたしの突然の行動に呆気に取られている氷室さんに構うことなく、彼の腕を引き花屋を出た。

さっきよりも若干高くなった太陽が再び照り付ける中、心地良い乾いた風が頬を掠める。飾られている花の匂いが、その風に乗って微かに鼻孔を擽った。