「えー、何がー?」
何が、なんて、そんなの聞くまでもないだろう。けれど、作業の手を休めることなくそう問えば、世奈は持っていたマジックを勢いよく机に置いた。
そして、
「決まってるでしょ。あんたと氷室会長、二人の関係のことよ。」
胸の前で腕を組み、毅然と言い放たれた予想通りの言葉に、あたしは小さく息を吐く。
だってまた、そのことか。
毎日毎日同じ話題、よく飽きないわね。
「だよなー。それ、俺もずっと思ってた。
だって、相手はあの氷室だぜ?まさか、紫音の気持ちを受け入れるなんて。」
突如、背後からあたしたちの話に横槍を入れてきた男。聞き慣れたこの声に、あたしはあからさまに眉間にシワを寄せる。
目の前の世奈は、その人物の顔を確認するなり、何とも言えない微妙な表情を浮かべた。