小さな体であたしを見上げ、何を言うでもなくつぶらな瞳でジッと見つめるだけ。 歳は四・五歳ぐらいだろうか。 白いコートに身を包み、この寒い季節に素足を出している。 髪は肩より長いけど、男とも女ともとれるような中性的な顔。 辺りを見渡しても親らしき人もいない。 迷子? と聞いても首を横に振るだけ。 なぜか、その子は喋らなかった。