ボクは普通の人とは違う。
これは本当に幼い頃から感じていたことだった。


虹色に輝く眼は然り、
ボクは時々夢を見た。
妙に現実じみた夢を。

普通は夢って起きたら覚えてないらしいけど、ボクは忘れるなんてことはなかった。寧ろ、その夢達は蓄積されていって、いつの日か現実じみた夢は現実だったのだと感じるようになった。その内容が、過去であっても未来であっても関係ない。それらは実際今までにあった事だし、これからある事なのだから。




普通でないことが当たり前で、諦めさえあった。
それがボクの性格に表れたんだろう。



でも、でもね。
ボクはね、君を初めて見たとき
嗚呼、この子がボクの代わりに普通の人生を生きてくれるって思ったんだ。
思い上がりだって思われも良い、つけあがりだって罵られても構わない。だって、そのとき確かにボクはそう思ったのだから。



「……ゴメン。ありがとう」



何も云わないでこの国を去るボクを許して。
コレは全てを知り、自覚したあの日から決めていた事なんだ。きっと君の事だから、ちゃんと話せば分かってくれて尚且つ、付いていくよとさえ言ってくれるだろう。でもそれじゃダメなんだ。
ボクはボクで君は君なんだから。

「……サヨウナラ」




これでいい。
これが最善だ。


住み慣れた家を発つ。
もうー
戻ってくることはー…ない。



「思い詰めた顔をしてどうしたの、おジョーさん」