「……アレス爺さん…。出て行ったってどういう事だよ……?」


「そのままの意味じゃよ。…アイツは出て行ったし、此処にはもう戻って来んだろう」



アレスはルーダーベの祖父である。彼女の唯一の血族、家族であるそんな彼が残酷な事を言っている。

嫌な夢だろうか。


「……っ、だってアレス爺さん!!アイツの体の事アンタが一番分かってるだろ!?無理だろ、出て行くなんてっ!!……ってゆうかどうして出て行ったんだよ…!?」


「……アイツには、覚悟があった……。全てを受け入れる覚悟が」

「なんだよ、覚悟ってー…、途中で死んじゃうかもしれないだろう!?」


ルーダーベは、病弱である。最近はほとんどベッドから出ることはなかった。だから、この家を出て行くなんて思ってもみなかった。それもいきなり、何が起きているのか……


「言っただろう。…アイツには覚悟があるのだと。儂には、止めることなど出来んかった……」


本当になんなんだ、覚悟って。
納得できるわけがないじゃないか。


「……探す。どうせリグのどっかにいるんだろうから」

「居らん。リグにはルーダーベはもう居らんよ、ザァル」


「いない!?じゃあこの国の外に出てったって事か?……国の外は砂漠しかないって知ってるはずなのに、」


「1つ、教えておこう。この世界には、他にも国はある」


「は?」



この世界には一つの大陸しかなくそれが一つの国であり、それが今居るこのリグ国なのだと遥か昔から言い伝えられている。
昔の文献にだって、そう書かれているのだ。
それなのに、他にも国がある?
まさかそれこそ天変地異だ。


「……ルーダーベを探しにいくのだろう?それでは、砂漠を越え
自分の目で確かめるといいじゃろう」



「……わかった。必ず、俺がルーダを探して連れ戻す…!」


ルーダーベがいなくなった訳を知りたい。
そして世界を、現実をこの目で確かめる。