ヴェルデから差し出された地図には大きな大陸が描かれていた。
その上には、大きな文字が4つ書かれている。
リグ
ヤジュル
サーマ
アタルヴァ
と。
そう世界は、砂漠を隔てて大きく分けてその名を持つ4つの国から成り立っている。
しかし、
「…この事実を、ほぼ総ての世界の人々は知らないのかー‥」
「知っているのは各国の王と賢者(ヴェーダ)のみ、だね」
ルーダーベが、独り言のつもりで呟いた言葉をリグ王は難なく拾った。
彼は耳も良いらしい。
「……だが、何故こうも時を急ぐのか聞いても良いかい、ルーダーベ?」
頬杖を付きながら問う彼の蜂蜜色の瞳が此方の異種の目を射抜く。
ボクが、こんなにも焦っている理由。
それは、
「夏の国のヴェーダの気配がー‥消えたんです」
「…ヤジュルの?どうしてまた−」
リグ王は、キョトンとしている。どうやら、答えが予想していなかったものだったようだ。
「分からない。だから、確かめに行くんです。ヴェーダは、4人で一つだ。1人でも欠けてしまっては意味がない…」
ルーダーベはそう言うと俯いた。元々長い前髪が更に彼女の顔に影を作る。
「…気配が消えた、という言い方なのには理由が有るのですか?」
空気が重くなっていた場を、ヴェルデが控えめでそれでいて明瞭な声で動かす。
「…ヴェーダが死を迎えれば、ボク達には分かる。だけど…、そんな感じはないから死んではいないはずで…。気配がただフッと消えてしまった、そんな感覚がボクの中にあって。よくわからないんだけれど」
ルーダーベは少し戸惑っていた。よく、わからないとしか言いようのない感覚だからだ。
ただ言えるのは、
「とにかく、急がないといけないと言うわけか。なるほど、なるほど」
「…はい。もうその時は迫っているんです」
その上には、大きな文字が4つ書かれている。
リグ
ヤジュル
サーマ
アタルヴァ
と。
そう世界は、砂漠を隔てて大きく分けてその名を持つ4つの国から成り立っている。
しかし、
「…この事実を、ほぼ総ての世界の人々は知らないのかー‥」
「知っているのは各国の王と賢者(ヴェーダ)のみ、だね」
ルーダーベが、独り言のつもりで呟いた言葉をリグ王は難なく拾った。
彼は耳も良いらしい。
「……だが、何故こうも時を急ぐのか聞いても良いかい、ルーダーベ?」
頬杖を付きながら問う彼の蜂蜜色の瞳が此方の異種の目を射抜く。
ボクが、こんなにも焦っている理由。
それは、
「夏の国のヴェーダの気配がー‥消えたんです」
「…ヤジュルの?どうしてまた−」
リグ王は、キョトンとしている。どうやら、答えが予想していなかったものだったようだ。
「分からない。だから、確かめに行くんです。ヴェーダは、4人で一つだ。1人でも欠けてしまっては意味がない…」
ルーダーベはそう言うと俯いた。元々長い前髪が更に彼女の顔に影を作る。
「…気配が消えた、という言い方なのには理由が有るのですか?」
空気が重くなっていた場を、ヴェルデが控えめでそれでいて明瞭な声で動かす。
「…ヴェーダが死を迎えれば、ボク達には分かる。だけど…、そんな感じはないから死んではいないはずで…。気配がただフッと消えてしまった、そんな感覚がボクの中にあって。よくわからないんだけれど」
ルーダーベは少し戸惑っていた。よく、わからないとしか言いようのない感覚だからだ。
ただ言えるのは、
「とにかく、急がないといけないと言うわけか。なるほど、なるほど」
「…はい。もうその時は迫っているんです」


