それは、かなり的を射ているのかもしれないな。





僕は、あまり社交的では無いし、会話も苦手。

逆に君は、僕には無い面をたくさん持っている。



そんな君に、助けられているのは事実。





この、月に一度の食事も、言い出したのは君から。




四年前。

結婚して初めてのボーナス。


“君の欲しい物を買っていいよ”

と言った僕に、君は笑ってこう言った。

“欲しい物は無いの。でも、特別な時間は欲しい”



それで提案されたのが、月一の君との食事デート。




それを職場の同僚に話したら、欲の無い妻で羨ましいと言っていた。

同僚はボーナスで、妻に高いブランドのバッグ購入をせがまれたらしい。



比べると、僕の妻は無欲なんだろうな。


まぁ、人それぞれ望む物は違うけれど。










いつもの駅を過ぎた僕は、更に二つ過ぎた駅で降りる。


西口で、君と待ち合わせだ。





ホームに降りると、冷えた風が身体をかすめていく。

車内の暖房が効きすぎていたせいか、更に寒く感じた。



スーツの上に羽織ったコートの襟元を立て、改札口へと歩き出す。



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