買い物に出掛けた君は、まだ帰る気配は無い。




朝の新聞に、隣町のスーパーのチラシが入っていたから、多分、行ったに違いない。

真剣に見つめながら、赤いマジックでチラシに丸を書いていたものな。





一緒に行けば良かった。

そうすれば、帰りに桜屋に寄れたのに。






でも君に
“あなたが一緒に行くと、お会計の時にビックリさせられるから嫌”

なんて言われたし…。





いいじゃないか。

桃太郎の高級キャットフードと、僕の晩酌用の刺身セットくらい。





でも今日は違うぞ。

2000円の刺身セットはいらないんだ。




今日の僕は、1個150円の大福でいいんだ。









時間は午後3時30分過ぎ。

桜屋は、午後4時30分で閉店。




ここから車で、桜屋まで10分。


君が今すぐ帰宅してくれなきゃ間に合わない。








どうしよう?

て言うか、無理かも。






こうなったら、君に向けて念を送るしかない。



夫婦だもの。

きっと、どこかで思考の回路が繋がってるはず。


もしかしたら奇跡があるかもしれない。






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