いつの間にか灰色の雲で覆われた空が、あたしを冷たくジロリと睨んでいた。


あたしも負けじと睨み返すが、相も変わらず、ただただ冷たい色をこぼすだけだった。



そんな空の下で、あたしは1人、公園のベンチに腰掛けていた。



カラスが地面に舞い降り、そしてその黒い翼を広げ悠々と歩いている。


ここがどこの公園なのか、あたしには全く分からなかった。


完全に迷子だ。



ふと目に入ったベンチに彫られた文字。



あいあい傘の中に、名前が2つ。

よくあるカップルのいたずらだ。



こんなところに自分の名前を彫って、恥ずかしくないのだろうか?

あたしなら絶対にしない…と思う。


ひょっとしたら彫ってみたいのかも知れない。

だけどあたしはそれをあえて拒否した。


羨ましく思うのは、きっと格好悪いんだ。