愛の楔




「若、お嬢。」

「あぁ、起きてる」


いつも起こしに来てくれる奴に返事をするとそいつは、朝食出来てますと言ってから戻っていった。


「飯だと」

「あ、うん」


美空は、頷くとよいしょと立ち上がる。それにならって俺も立ち上がり、部屋を出ようと襖に手をかけ、振り返る。


「行かないのか」


布団の上から動こうとしない美空に首を傾ける。


「着替えてから行くよ」


笑って答える美空に、そうかと頷いた。


「先に行く」

「はーい」


美空の明るい返事を聞いてから俺は襖を開けた。








こんな朝早くからでもこの家の中は賑やかだ。


「おはようございますっ若!!」


どうしてそんなに元気なんだと突っ込みたい。