「うん。それに、ここから学校までどのくらいかかるか分からなかったし」


美空の言葉に驚く。


「………歩いて、いくつもりだったのか」

「遠い?電車かな?」

「じゃなく、」


一旦言葉を切って、俺は溜め息をついた。美空は、首を傾けながら俺の名前を呼ぶ。


「龍さん?」

「………学校までは車を出す」


だから、歩いていく必要も、電車でいく必要もない。


「それに、弁当は、多分準備してあるはずだ」

「?どういうこと?」

「台所担当の奴等がな。俺もそうだったが、外のものは毒が入っていたら困るからといつも作ってくれていた。」


美空が学校に行き始めると昨日のうちに全員に伝えてあるからきっと作ってあるだろう。現に昨日、台所担当の奴等の一人に美空の好き嫌いについて聞かれたのだから。