「………俺のためだと言うなら、側にいてくれ」
「………龍さんが望むなら、」
あたしは、側にいるよ。
その言葉に俺は抱き締める力を少しだけ強めた。
どれほどそうしていたか。
俺達が離れたのは、美空の間抜けな声だった。
「あ」
「?どうした」
美空から少し離れてでも腰に回した腕はほどかずに美空を見下ろすと、美空はしまったっ、というような顔をしていた。
「………お弁当、作る時間が………」
時計を見て、肩を落とす美空。
時計を見てみると、時計の短い針は6を指している。
「?弁当?」
「うちの学校は学食がないの」
だから、お弁当もっていかなきゃ。
「それでこんな早く起きたのか?」


