愛の楔




縋るように俺に目を向ける美空に、俺は軽くため息をつく。


「すまないな。どうも、身元が確認しきれないと満足しない奴でな」


忠誠心が半端ないんだ。


「?よく分からないけど……疑われてたの」

「もう終わったから安心していい。」

「うん………あの、顔上げてください」

「………」

「えっと……」

「炯と言います。これからよろしくお願いします」


あ、こちらこそ。と返す美空に近づき、俺は、鞄を閉じさせて、美空から離した。あ、と言う美空を無視してまた寝かせた。


「まだ寝ていた方がいい」

「うん……」


頷きながら美空はチラチラとパソコンを見る。


「パソコンは置いておくから」


今は寝ろ、と言うと、美空は素直に頷いて目を瞑った。