愛の楔




「なら、龍さんが謝ることじゃないよ」


そう言って美空は、上半身を起き上がらせる。
俺は、慌てて背中に手を添えた。


「まだ、起きない方が、」

「……もう、大丈夫です」


力の入らない手で美空は立ち上がろうとする。


「美空?」

「……お世話になりました」


ふらふらしながら美空は薄く笑みを浮かべて軽く頭を下げた。


「どこにいく」


歩きだそうとした美空の腕をつかむと、美空はバランスを崩して俺の方に倒れてきた。


………まだ本調子ではないのに