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潮の香りが混ざった冷たい風が頬を撫でる。
「―――龍さん?」
「?どうした?」
「ボンヤリしてたみたいだよ?」
心配そうに見上げてくる美空に小さく笑い、何でもないと頭を撫でた。
あれから、美空の記憶は戻る兆しすら見せることがなかった。まるで永遠にどこかに葬ったかのように。
しかし、それでいいのかもしれない。
「………そろそろ、帰るか」
風も冷たくなった。このまま居ても風邪を引くかは分からないが、用心するに越したことはない。
「そうだね」
美空は、笑顔で頷くとくるっと振り返る。その先には何故か全身砂だらけの澪の姿があった。
一体、何をしていたんだ………?
よく見てみると、澪の足元に不自然な砂の山があった。


