ホッと炯は安堵の息をはく。
「良かった」
「あぁ………お前の方は」
「………分かりましたよ」
グシャッと言う音と共に炯の手の中にあった紙は捻り潰されていた。
ふつふつと怒りが立ち上る様が背後に映し出されそうな位だ。
「美空さんを拐い、神賀を奪ったのは………東組です」
「………そうか」
東組。美空の親が借金したと言う組………何でもありの非道さで有名な組だ。
「一度だけではなく二度も………若、いっそのこと爆弾送りつけましょうよ」
「良いかもな」
炯の意見に全面的に賛成だ。
姑息な真似をしなければ成り立たない組など潰れてしまえば良いのだ。
「相手は分かりました。後は若、貴方次第です」
爆弾の話は冗談に過ぎないが俺が指示すれば現実のものにすると暗に言っているのだ。
東組にはかなりのかりがある………今すぐ行動したいところだが、一つ気がかりなことがあった。


