軽く頭を撫でてから俺は立ち上がって部屋をあとにした。そのまま竜の間に向かう。
「くそが!!」
「………」
「あ、若」
竜の間に入るなり俺は、何も言えなくなった。中にいた炯は、俺を見るなり、あ、と自分の周りを改める。
「………どうした」
「いや……これは」
「お前が暴れるなんて珍しい。」
俺は、足元に散らばっている紙を一枚拾う。
部屋中には紙やら本やら色んなものが散らばっていた。
普段冷静沈着な秘書タイプのこの男はキレることは滅多にないというのに。
「あぁっ若っ拾わなくて良いです!俺がやりますから!」
慌てて紙をかき集め始めた炯に俺は苦笑しながら数枚を拾っただけで部屋の中を進む。
「美空さんの容態はどうでした?」
「打撲程度だそうだ」


