愛の楔




言葉を失う美空に、俺は、苦笑を溢すと、美空を横たわらせた。


「これ以上は傷に障るから寝ろ」

「………」

「何かあったら竜の間にくればいい」


ずっと側にいてやりたいが、疾風にばかり任せるわけにはいかない。
それに、俺がいない方がいいかもしれないな。


布団に寝かせて毛布をかけ直してやる。


美空は、じっと俺を見つめてくる。


「………龍さ、ん」

「なんだ?」

「…………」

「俺は、嘘はつかない」

「っあたしは」

「深く考えないで良い」


俺は、美空の額に張り付いた髪を払ってやった。


「少なくとも俺の気持ちは知っていてくれ」

「………っ」

「だが、残念だが俺は、お前を手離せそうにはない」

「龍さ……っ」

「竜の間にいる」