血に染まりすぎた俺は、地獄の底にいた。光のない、真っ暗な世界に。
あの日、撃たれた時も、逃げはしたが実はどうでもよかった。ここで死ねるならそれでいい、そう思っていた。
周りには似たような闇を抱える仲間達。しかし、近づいてくるのは敵かもしくは権力を持ちたいがために近づいてくる女。
疲れていたんだ。
あの日、あの小さな公園で俺は、聞こえてきた歌声に導かれ、美空に出会った。
怖くないと言われ、何の見返りもなしに手当もしてくれ………屈託ない笑顔をくれた。
それがどれだけ俺を救ってくれたか。
「美空には価値がないなんてない………俺にとっては他の何にも変えられないくらいに価値ある人間だ」
「っ」
「もし神賀を手離してなかったら、きっと母にも死んだ炯の親父にも怒られていたな」


