ゆっくりと羽根を広げた。
鳶さんの高い鳴き声が聞こえた。
雲が近くに見える。
空が身近に感じた。
初めて見た大空。
太陽が眩しかった。
鳶さんが近くまで来てくれていた。
羽根を動かすことに一生懸命なアタシに、鳶さんがついに近くまで寄ってきて言った。
『どうしたの?家出でもした?』
『うん、初めて出てきちゃった』
『そっか。一緒に飛んでみる?』
『でも、そんな高くは飛べないよ。』
鳶さんは笑った。
『大丈夫。飛べるところまで行こうよ』
少し風が吹いた。
飛ばされそうになる体が、少し揺らめいた。
『とりあえず、あの公園の木まで行こうか』
鳶さんが大きな羽根を一振りすると、グンと大きく前に進む。
・・・無理。
素直にそう感じた。


