羽根を伸ばしたのは、どれくらいぶりだろう。
まずは、羽根を伸ばしてみてわかったことは、このゲージが如何に狭かったかということ。
ここに来て、2年経っていた。
そのゲージの中から、少しの不安と勇気を追い出すかのように、その羽根を大きく広げた。
―――カタタンッ。
ゲージが大きな弧を描いて、揺れ動いた。
まるで、人間が観る映画のワンシーンかのようだった。
ゲージから見る景色とは対照的に、広がる部屋の景色はいつもより鮮明に見えた。
大きく開かれた窓からは、さっきの鳶さんがまだ往々にして空を舞っていた。
『・・・あそこまで行けるかな。』
少し緊張していた。
幾度となく、大空を夢見た毎日。
でも、ひとりでは少し怖くて。
あの鳶さんのように、ひとりでは飛べないように感じた。
でも、今なら飛べるかもしれない。
あそこで、鳶さんが待ってくれている。
アタシは深く息を吸い込んだ。


