『どうしたの?』 『何か思い入れがあるのかしら?』 いつの間にか、マリネがそばまで来ていたらしく、そう呟いた。 「最後はいつ読んだんだろうね・・・」 そう呟くと、おばあさんが静かに封筒を開いた。 夕暮れ時のオレンジ色に包まれた部屋の中で、パサパサと渇いた紙の音だけが響く。 『おじいさんからのお手紙だね。何て書いてあるの?』 『なんか、悲しいわね。最後のお手紙っていうものね』 「これも、大切な形見になってしまったよ」 おばあさんは、静かに読み始めた。