***千代子SIDE***


ドンドン、ドンドン。
休日の朝、部屋のドアがノックされる。


「はい…。」


目の前には、お父様の姿。


「…勇次くんが、婚約を解消してほしいと、言ってきた。」


「えっ!?ゆうちゃんが?」


「“あの男から彼女を奪ったら、何されるか分からない”だそうだ。向こうの両親もそれを納得していた。…千代子、お前はどんな相手と付き合ってるんだ?」


お父様の眉と眉の間には、すごいシワ。


「…素敵な人です。ちょっと(?)イジワルだけど…優しくて、頼りになります。」


「………。」


お父様は口を閉ざしてしまった。怒ってるのかな…?


「…そこまで言うなら、一度、連れてきなさい。」


「…えっ!?」


私は大きく瞬きをした。


「どんな相手か、私が…見る。」


「お父様…!」


私は、笑って、お父様に抱きついた。


「ち、千代子!離れなさいっ。」


「絶対、ぜーったい!お父様も気に入ります!」


私は瞳を輝かせて、入った。


「…早く、会ってみたいものだな。」



お父様も、笑った。嬉しい、嬉しいよー!!
私は慎一さんに電話して、いつもの喫茶店で待ち合わせする事にした。