約束の、次の日曜日。
嬉しいはずなのに、笑顔になれない。


理由はやっぱり――お見合いの事…かな。


慎一さんの家と、私の家の、ちょうど間にあるカフェ。
ここで慎一さんを待つ。


慎一さんを待ってる間も、あの時の…ゆうちゃんの台詞が頭によぎる。


“昔から千代子の事が好きだったんだ”


「なんや?ぶっさいくな顔して」


そう言って、私の顔を覗き込んだのは慎一さんだった。


「え…いえ……」


平静が保てない。
慎一さんの前で、どんな顔したらいいんだろう?


「…千代子」


「はいっ?」


「頼みがあるんやけど」


頼み―――?
慎一さんが…私に?


「はいっ!なんなりと!」


「俺の親父に会ってくれへんか?」


――慎一さんの、お父様に?
それって……


「彼女として、紹介したいねん」



…リーンゴーン


私の脳内では、教会の鐘が鳴った。


「はいっ!喜んで!」


私は笑顔で答えた。