愛は要らない



薫子の顔が、真っ赤に染まる

その原因が、恥ずかしさでないことぐらい、遥に分からないはずがない


「理由なんてないですよ。一目見た瞬間に、彼女だと確信したんです」

「わたくしよりも、若いですし・・・」


必死に話続ける薫子に、遥は困ったようなため息を漏らす


「失礼します。専務、奥様がおみえです」

「綾野が?」


遥が驚いた顔をする


(ちょうどいいか・・・)


薫子を横目で見て、遥は結子に視線を移す


「通してくれていいよ」