愛は要らない



謝られても、遥はそんなことを望んでいない


「綾野、いいから今どこにいるの?」

『・・・・・・・・・ごめんなさい』

「綾野・・・ッ」


切れてしまった電話に、遥は焦りから乱暴にスーツに押し込む


「お帰りなさいませ。あの、坊っちゃん?」


表に停まっていた車の運転手が、遥の焦りに気づき、戸惑う


「病院へ。いや・・・。家へ行ってくれ」


あの様子からして、綾野は病院にはいない

ならば、行くべき場所は1つだろう