「サラ!!」


ここ数年オーディオからしか、
きいたことのない声。


「お兄ちゃん・・・?」


門扉のそばで足がとまった。

幼なじみだった
隣の家のお兄ちゃんは、
あの超人気バンド、An-sの
ボーカリストだった。

解散して数年たつけど、
やっぱ、かっこいい。


「綺麗になったな。サラ。」

そういって、お兄ちゃんが、
子供を抱いて近づいてきた。


結婚・・・したって、
そういえば、
雑誌に載ってたよね。


−−−お兄ちゃん
おめでとう−−−

そう口を開きかけた。


「サラ・・・・
お前、そのキズ・・・
どうした?」

ハッとする。


みつかった・・・。


髪も腰まであるし、
下ろしてるからと、
油断していた。


季節は夏

キャミソールドレスの上から
何にも羽織ってない。

まだ多少なりとも、
明るいこの時間、
見つからない訳は
なかったんだ。



「サラ、そこで待ってろ。」


お兄ちゃんは
そういって、
家に入っていった。