【尚道】



相変わらずバイト。



新しいことを探すって、難しい。



サッカーしかやって来なかった俺は、勉強も中途半端で。



それなりに友達はいるけど、バイトばかりで遊ばない。



疲れて家に帰り、眠ってから大学へ行く。



終わったらバイトの繰り返し。



ムダに時間だけが過ぎてるような気もする。



「尚道~、ちょっといいか~?」

「はい?」

「こちら、今日からパートに入った柴田さん。お前、いろいろ教えてやってくれ」

「えっ、ホールをですか?」

「両方。尚道くらいじゃん?両立できるヤツ。ソレを教えてやって」



キレイな人だと思った。



キツい目はキツネと言うより猫。



長い髪をまとめてて、化粧も薄い。



「よろしくお願いします」

「あっ、よろしくです。大学3年の村上 尚道っていいます。わかんないこと、何でも聞いてくださいね?」

「頼もしいです」



柴田さんに教えた仕事は挨拶と皿洗いと店の流れ。



後は後々?



一気に詰めてもしんどいだろうし。